【PAUL GILBERT / ポール・ギルバート】来日公演直前!オフィシャル・インタビューが到着!!
10月に【WROC WORLD TOUR 2026】で約7年ぶりの単独来日ツアーを開催するポール・ギルバート
10年ぶりにリリースしたヴォーカル・アルバム『WROC』を引っ提げて、アメリカ・南米とツアーを完走し、MR.BIG終幕後も進化が止まることがないギター・ヒーロー。そんな彼に、これまで行ったツアーの手応え、1991年にドイツで披露したジミ・ヘンドリックスのトリビュート・パフォーマンスを収録したEPについて、日本に対する思いなど、来日公演に向けて話を聞いた。(取材実施:26年8月)
日本で新しいアルバムの曲、そして僕の音楽人生のハイライトを演奏するのを楽しみにしているよ。バンドも最高だ。日本をエンジョイし、友人であるみんなと会えるのを、今から楽しみにしているよ。
最新アルバム『WROC』
Q:最新作『WROC(ロック)』をリリースして約半年が経ちますが、今作に対するご自身の手応えはいかがですか? リリース後、ファンや周囲からの反響で印象に残っているものはありますか?
PAUL GILBERT(以降P):すごくいい、そして重要な反響が返ってきているよ。USツアーの最終日はテキサス州ダラスでだったんだけど、友人である超絶ギタリストのアンディ・ティモンズが観にきてくれた。バックステージで、そのアンディから「ポール、『WROC』は俺の今年のベストアルバムの1枚だ」と最高の褒め言葉をもらったんだ。
今年2月に10年ぶりにリリースしたヴォーカル・アルバム『WROC』
作り始めた時は、まず何より、バンドのメンバーがアルバムを気に入ってくれるかが重要だった。そこから全ては始まった。そして実際にツアーで演奏してみたら、アメリカ中での反応もすごく良かったんだ。
また、ヴァージニア州のジョージ・ワシントンゆかりの歴史的な街で演奏できたのは楽しかった。あれは意味深かったね。
Photo:Sam Gehrke
Q:『WROC』の楽曲でライブで演奏することにより、魅力が増した曲は何ですか?
P:やってみて、すごく気に入ったのは「Let Thy Carriage」だよ。6/8のグルーヴの曲なんだけど、僕とジェフ・マーティンの2声のヴォーカルハーモニーがすごくいいんだ。ジェフはバンドではドラマーだが、レーサーXではリードシンガーだから、ハモらせてもすごい。そのジェフとのツインハーモニーが本当に強力なんだ。
AC/DCに6/8拍子の曲があるかわからないけど、すごくクールな6/8のグルーヴに乗って、アンガス・ヤングのスタイルでーー怒りや炎を込めてーーギターソロを弾いている。いろんな要素がすごくうまく組み合わさった、大好きな曲だ。
もう1曲「Spark of Celetial Fire」。これは3声ハーモニーで、バンド全員が歌う曲だ。メロディが最高に美しいんだよ。この曲の最後の歌詞は、ジョージ・ワシントンの本(『George Washington's Rule of Civility』)に登場する”最後のルール”の引用だ。まるでポエムのような美しい言葉だったので、それをベースにメロディを書いたんだ。
MR.BIGで大好きだったことの一つが、コーラスワークの美しさだった。この曲にはちょっとその感じがある。歌うためにあるような曲なんだ。
ツアー中の体調管理と手応え
Q:約40日間で31公演を行い、かなりハードなスケジュールだったと思います。これだけ連日ライブを行う中で、体調や演奏面で意識していたことはありますか?
P:夜は早めにベッドに入り、水をいっぱい飲むこと。あと、喉のウォームアップをちゃんとする。あとは、休みの日はたいてい動物園に行く。外に出て、ちょっと歩くのにちょうどいいんだよ。でも僕にとっては、何よりも音楽なんだ。ライヴをやることが元気の源。かなりハードな日程だったけど、やれてとても楽しかった。
Q:ツアーを通して感じた変化はありましたか?
P:少しね。ツアーを続けていくうちに”何が一番うまくいくか”が感覚でわかるようになったと思う。時には、変えてしまった後でやっぱり変えない方が良かったと思い直し、「さっきの撤回!」っていうことも(笑)。そんなふうに常に、色々と試しているよ。この次は南米ツアーなんで、セットリストに新曲を加えたところだけど、果たしてうまくいくか、やってみてのお楽しみだよ。そしてそのあとは日本。日本のツアーだけの特別な何かをしたい、と思っているよ。
Photo:Terri Smith
アメリカツアーのセットリスト
Q:毎公演1曲目に披露している「Crazy PG Medley」。このメドレーはどのように作ったのですか?
P:ソロの作品、レーサーX、MR.BIGの作品…と僕のキャリアを全部見直して、それぞれ一番好きな曲を選んだんだ。プラス、ファンはこれが好きじゃないかな、と思う曲も選んだ。自分で自分の昔の曲を聴き返しても、全部が好きってわけじゃないこともあるからね(笑)
たとえば、『Get Out of My Yard』の「Hurry Up」は大好きな曲なんだけど、ちょっと長いっていうのがあって…。でもメドレーでなら丸1曲やらなくていいから、気に入ってる最初のパートだけを抜き出して入れられるし、同じことを何度も繰り返さなくてもいい。
同じ『Get Out of My Yard』の「The Curse of Castle Dragon」はものすごいハイエナジーな、ファンの人気が高い曲なんだけど、これはほぼ丸々弾いている。
普通、曲には同じパートや、繰り返しがあるものだけど、メドレーなら、繰り返しの前でやめて新しい曲に乗り換えられるので、サプライズの連続で楽しいんだ。やる側としては覚えることがいっぱいで大変だけど、バンドのみんなには本当に感謝してる。長年ずっと僕の音楽を聴いてくれてる人からは「お!この曲か。こんな曲があったって忘れてたな」と思ってもらえるんじゃないかな。これまでのキャリアのハイライトを一気に聞いてもらえる、すごくいいチャンスだと思う。
Q:でも、約20分間連続でギターのスーパーテクニックを正確に弾き続けるには技術の要素だけではなく、「スタミナ」や「集中力」が必要なんじゃないですか?
P:確かに最初はそうだった。でもいったん覚えてしまえば、あとは結構スムーズにできてしまったよ。
Q:そうなんですか!?ところでセットリストにレッド・ツェッペリンの「Stairway to Heaven」が入っていますが、この楽曲をセットリストに入れている理由は?
P:そりゃあ、大好きな曲だからさ。レッド・ツェッペリンの曲で初めて聴いた曲だったし、その瞬間、子供だった僕は夢中になった。でも、有名な映画『ウェンズ・ワールド』でも、主人公が楽器店に入っていくと” No Stairways to Heaven”って書かれてるシーンがあるじゃないか。誰もがあの曲を弾くもんだから、店員は「聴き飽きた!弾くな!」と言ってるわけさ。レッド・ツェッペリン自身、ある時点で「あの曲は封印する」と決めて演奏しなかった。そうやっていつしか、誰も弾くことを許されない「禁じられた曲」になっちゃったんだ。
でも僕は「そんなことは構うもんか。俺は弾くぞ!」と思い、やった。でも曲の頭からではなく、途中から弾いている。南米でやるかはまだわからない。変えるかもしれないし、変えないかもしれない。わからないよ。
Q:日本では?
P:わからないよ。すべて2週間前までわからない。あと2週間となったところで、いろんなアイデアを試し、その時にいいと思えることをするんだ。
Photo:Terri Smith
来日ツアーで楽しみにしていること
Q:10月の来日で楽しみにしていることを教えてください。
P:日本でのライヴはいつも本当に楽しみだ。ファンのみんなに会えること、僕らの最高の音楽を届けられることを、何よりも楽しみにしている。日本が初めてのメンバーもいるので「フグ鍋を試してみろ」とか「焼鳥もいいぞ」「焼肉もどうだ?」と日本のうまいものを食べに、僕が連れ出すよ。
どの国にもその国の良さや面白さがあるものだけど、僕みたいなアメリカ人が日本に来てすごく感動するのは、街で漢字で書かれたものを見かける時だ。そういう時って「別世界に来たぞ」という気にさせられる。日本人のみんなには「毎日、それを読んでるんだよ」と言われてしまいそうだけど、アメリカ人には漢字、ひらがな、カタカナを見ると、何だかスペシャルな感じがしてね!僕は日本語を少し勉強したことがあるので、ひらがな、カタカナは少し読めるんだけど、漢字は難しくて…。僕の息子は漢字も少し読めるよ、僕はダメだけど!
6月にストリーミング解禁されたEP『Tribute to Jimi Hendrix』
Q:今年6月にジミ・ヘンドリックスのトリビュートEP『Tribute to Jimi Hendrix』がストリーミング解禁されましたが、当時はリハーサルの時間がほとんどなかったからこそ、かなり即興的な演奏になったと思います。今、同じ状況に置かれたら、1991年とは違うアプローチをしますか?
P:当時は、他にどうすることもできない状況だったんだ。会場に到着したら、プロモーターから「予定していたヘッドラインのアーティストが、体を壊し、来られなくなった。君がヘッドライナーだ」と告げられたんだ。僕はゲストで出るだけのつもりだった。でも「バンドはこちらで用意する。リハーサルは2時間。それで本番に臨んでくれ」と言われ、どうしようもなかった。それで、ジミ・ヘンドリックスの曲で行こうということになったんだ。スタンダードというか、誰でも知っているし、長いジャムセッションにはピッタリだからね。 もし今やるとして、当時とひとつだけ違うとしたら、もっと上手く弾けるということかな(笑)。あのアルバムを聴き直して思ったけど、速く弾くのは当時からできていたし、トーンもそう悪くなかった。なかなかいいプレイだったと自分でも思う。でも、いいメロディを作る力というか、ブルースのコード進行の上で弾く力は、今の方がずっと上だと思う。いろんな部分で、より深く掘り下げられると思うよ。
ジミ・ヘンドリックスのギターテクニックについて
Q:ギター演奏でジミ・ヘンドリックスから影響を受けた部分はありますか?
P:そりゃあもちろん。ジミはギターを人の声のように操った最初のギタリストの一人だと思う。それには、彼のあのサウンドが関係してた。大きくて、歪んだ、サスティンを効かせたたっぷりのギターの音は、まるでシンガーが声を張り上げて歌っているかのようだった。ジミが出てくる前のギタリストのサウンドは、歪ますのではなくクリーンで、弾くスタイルもカントリーウェスタンというか、チェット・アトキンス風だった。初期のビートルズのジョージ・ハリスンとかは、まるでカントリー奏者のようにギターを弾いている。それはいいことなんだよ。あくまでもギターがギターらしく演奏されていた。ところがジミはギターをギターのように弾かなかった。シンガーかホーン奏者のように弾き、ギターでできることの可能性を広げたんだ。
Q:もしジミ・ヘンドリックスと話せたりコラボできるならどんな事をしたいですか?
P:ジミにギターを弾いて、歌ってもらい、僕はドラムを叩くよ!ただ彼の演奏を聴いていたい。もしくは、一緒にブルースのジャム・セッションでもできたら最高だな。
Photo:Terri Smith
お気に入りのギター紹介
Q:沢山のギターを集めていますが、最近買ったギターをぜひファンに紹介してください。
P:一番、最近のはどれだっけな?というか、僕はギターをカスタマイズするのが好きなので、持ってるギターを見回して、ピックアップを交換したりしてる。たとえば、(とギターを見せて)これはIbanez のFireman。15年ほど前のものだ。このピックアップを全てハンバッカーにしたいと思い、交換した。ピッグガードも新しくしたよ。それだけでギターに新しい命が吹き込まれるようなんだ。古いピックアップも悪くはなかったけど、変えたことでギターから新しい色が引き出せた感じさ。
Ibanez FRM100 MSTこの部屋に置いてあるのは、全部そんなギターばかりさ。絶えず、「これも新しいピックアップにしようか?」と、探してるんだ。(またギターを持ってくる)
Ibanez PGMFRM1
これは20年近く前の初代Firemanだ。いや、きっかり20年前かもしれない。ピックアップは最初のままだけど、元々の角度を変えてみた。本当にささいなことなんだけど、実際に弾いてみると違いが感じられるし、音にも差が表れるんだ。
そういうのって、ギタリストなら誰に話しても、話が盛り上がる。「そう!それで差が出るんだよな!」って。僕たちギタリストは、いつも細かいディテールにこだわって、手を加えたり試行錯誤してる。それが僕らにとってはすごく意味あることなんだ。
Q:その中でもしギターを1本しか残せないとしたら、どのギターを残しますか?
P:今見せたやつかな。最近、一番弾いている1本だからね。あのFiremanにはたくさんの思い出がある。初めて、あの形のピックガードをデザインしたし、世界中を一緒に旅してきた。他のギターを見ると「あ、これもいいな」とつい目移りしそうになるけれど、でもやっぱり今はあのKorina Firemanだ。
普段の生活について
Q:MR.BIGのメンバーとは今でも連絡は取っていますか。
P:ビリーにはたまにメールするよ。エリックからは…この間、間違って朝の2時に電話がかかってきた。誤発信で(笑)。
Q:最近、楽器の演奏以外で一番時間を使っていることは何ですか?
P:息子がいるので、息子に新しいことを教えたり、話をしたり…そんなことかな。あとは最近何をしてたかな?自分でも思い出せないよ。
20代の頃は、ツアーが終わって家に帰っても、息子がいたわけじゃなかった。それが一番の違いだ。今はできる限り、息子との時間を作りたい。それもあって、年の半分をツアーに出ていた昔に比べると、家族と過ごす時間をちゃんと持てるように、少しだけ、ツアーの日程も短めにしてるんだ。
日本のファンへメッセージ
Q:日本のファンにメッセージをお願いいたします。
P:日本のみんな、また日本で新しいアルバムの曲、そして僕の音楽人生のハイライトを演奏するのを楽しみにしているよ。バンドも最高だ。ドラムとハーモニー・ボーカルにはジェフ・マーティン。日本をエンジョイし、友人であるみんなと会えるのを、今から楽しみにしているよ。最高の時間にしよう。ロックンロール!
Translation:Kyoko Maruyama
■公演概要
PAUL GILBERT
<WROC WORLD TOUR 2026>
10/21(水)東京 Shibuya WWW X 18:00開場/19:00開演
10/22(木)東京 Shibuya WWW X 18:00開場/19:00開演
10/23(金)大阪 Yogibo META VALLEY 18:00開場/19:00開演
チケット:スタンディング ¥12,000(税込/入場整理番号付/ドリンク代別途)