【BRYAN ADAMS】まもなくスタートする来日ツアーを前にオフィシャル・インタビューが到着!
[ROLL WITH THE PUNCHES TOUR]で26年今月末に来日し、東京・大阪での公演を開催するブライアン・アダムス。ツアー・タイトルに昨年リリースした最新アルバム名を冠している通り、重要な位置付けとなっている同作の制作過程やクリエイティブな分野での活用も著しいAIについてなど、ミュージシャンとしてのみならず、クリエイターとしてマルチに活躍する彼へ来日に先立ち話を聞いた。
Q:25年の初めからヨーロッパや北米などで[ROLL WITH THE PUNCHES TOUR]は既に始まっていますが、ライブの手応えはいかがですか?
Bryan Adams(以下、BA):25年は合計144回のコンサートをやったことになるんだ。本当に素晴らしい1年だったよ。
Q:アルバム『Roll With The Punches』に収録された曲もオーディエンスに披露し始めていると思います。どんな反応が返ってきてますか?
BA:ものすごくいい反応が返ってきてるよ。ヒット曲と合わせて演奏しても、パズルがピッタリ合うみたいに馴染んでいると思う。
Q:最新アルバムは自身のレーベル「Bad Records」からのリリースとなりました。楽曲やアートワーク制作などのクリエイティブ面で自由を感じる作業となりましたか?
BA:アルバムっていうのは、その時々で自分に作れるベストの曲を作るだけなので、そういう意味では特にこれまでと違いはなかったよ。でも今回、メジャー・レーベルに戻るのではなく、自分のレーベル「Bad Records」を作って、そこから出すんだという期待感が作業をワクワクするものにしてくれた。
ちなみに"Bad"っていうのは、僕の名前ブライアン("B")・アダムス("AD"AMS)からきてる。学生時代のあだ名だったんだ、BADAMS(バダムズ)が。
Q:アルバムにはジョン・"マット"・ラングや、盟友であるジム・ヴァランスも参加しています。彼らはあなたのサウンドにとってどんな存在ですか?
BA:アイデアやサウンドのまさにコラボレーターと言っていい。あとは、一緒にやって絶対うまく行くという安心感。何かアイデアを思いついて「これは曲になりそうだな」と思って作業を始めても、僕1人ではある程度までしかいかないこともある。そういう時は「マットだったらどうするだろう?」と考え、彼に投げてみると、いつも面白いものになって返ってくるんだ。そのチャレンジが好きなんだよ。
Q:ジムの場合はどうです?
BA:『Roll With The Punches』でジムが関わってくれている曲は、実は大昔に作り始めていたものなんだ。今後はまたジムとのコラボレーションを復活させたいと思ってるんで、そうなることを願ってるよ。ジムと最後にちゃんと曲作りをしたのは『Pretty Woman:The Musical』の時だからね。
Q:顔面にパンチをするツアーのビジュアルは強烈なインパクトでした。ご自身で撮影されたんですよね?
BA:そうだよ。

Q:あのアイデアにはどうやって至ったんですか?
BA:「Roll with the punches(殴られても、前に進む。逆境に耐える)」というのがアルバムのテーマだったから、アートワークもボクシングのモチーフで行こうと思ったんだ。何かちょっと笑える写真で、ボクシングと繋がりがあるものがいいなと思ってあれになったのさ。
Q:長いキャリアを持つアーティストの中には昔のヒット曲以上のものを作れないなどと新たな作品を生まない人もしばしばいます。一方であなたはコンスタントに新作をリリースしています。それは、やはり伝えたいメッセージや歌いたいメロディーが次々に湧いてきて、自然と新たな楽曲制作をしているからですか?
BA:ああ、そうさ。実際に新しい曲は今でもどんどん生まれているよ。曲が生まれる限り、僕はレコードを出し続けるだろう。もちろん現実もちゃんと把握してるさ。今は昔のようなヒットを出すのが難しい時代だ。でもそれは気にならない。だって元々、ヒットを出すことが目的だったわけじゃないからね。昔から大事なのは、自分に作れるベストの音楽を作ることだった。そしてそれが誰かの心に届けばそれでいい!
それに今の時代、アーティストには"インターネット"という切り札がある。そこでフォロワーを築いておけば、彼らに新曲を届けることができるからね。
Q:これまでもそうでしたが、今回のアルバム収録曲のMVで監督もなさっています。「A Little More Understanding」「Will We Ever Be Friends Again」「Be The Reason」などどれも全然違うコンセプトですが、映像のインスピレーションはどこからきますか?たとえば「A Little More Understanding」では、若者たちがノッてる中、あなたは1人黙々とベースを弾いているという映像でしたが。
BA:あれは、70年代のTVの音楽番組でよく見る「バンドが演奏していて、その周りをお客さんやダンサーが踊っている」そんなイメージなんだ。だから歌詞の内容とは必ずしもリンクしていない。ビジュアル的に何か楽しい感じにしたいなと思ったんだよ。
Q:なるほど。「Will We Ever Be Friends Again」は?あの長く続く海岸線は本当に美しかったです。
BA:ありがとう。あれはアイスランドだよ。ちょうどコンサートで訪れることになっていたので、あの絶景を撮影したいなと思って、数日早めに行ったんだ。まさに曲にぴったりの映像になったと思うよ。男は彼女の足跡をたどりながら、その行方を探している。メランコリーな雰囲気といいい、あの場所の空気感が歌詞の内容にとても合っていると思うよ、自分でも。
Q:あれはCGでもAIでもないんですね?
BA:すべて本物さ。
Q:「Be The Reason」は?
BA:その正反対で、あれはAIで作った1本だよ。AIで「ちゃんと通用するものが作れるのか」というある種の実験だったんだ。だって今って、まさにAIのような新技術が本格的に動き出す転換点に差し掛かっているだろ?どんなものができるのか、見てみたかったんだ。成功だったのかどうか、今の時点ではまだ判断できないけど、これから結果は見えてくると思う。
Q:emoji(絵文字)にインスパイアされたのかと思いました。
BA:あれはね、日々、必死に働いている人、もしくは存在を象徴しているんだ。彼らは"外の世界"を見ることなく、ただ自分の置かれた立場に不満を感じながら生きている。でも一歩、外の世界に出たなら、ハッピーな心を取り戻せるんだ。
Q:楽曲ができた段階でもうMVの構成を考えていたりもするんですか?
BA:「MVを作らなきゃ」と思ってから考えるよ。「Will We Ever Be Friends Again」の時も、ある海岸にいて、誰かの足跡が目に入り「あ、これだ!」とひらめいた。「あの足跡を追いかけることで、失った誰かを見つけようとしている気持ちのメタファーになるし、さらにその思いを強く表せる」と思った。でもそれを思いついたのは、その場に着いてからさ。
Q:音楽・写真・映像と様々なクリエイティブな活動を自ら行うという状況を外から見ると、とても忙しく、考えることも多く、1日24時間で足りてないのではと想像してしまい、ちゃんと休めているか心配にもなります。日々どのように創作に臨んでいるのですか?
BA:物事にはそれぞれ"やる時間"が決まってるんでね。たとえば、ライヴの日にはライヴの日の過ごし方がある。僕の場合、少し早めに会場入りしたら、ケトルでお湯を沸かして、お茶を1杯飲んで、セットリストを確認し、何か食べる。そして本番。終演後はその晩の内容を振り返って、必要だったら変更を加える。そしてまた次の晩のライヴに臨む、という感じだ。オフの日は基本的にただ身体を休ませるよ。ビデオ撮影の日は、準備があるので、いろいろなことを考えなきゃならない。ロケ地を決めたり、テーマを決めたり、役者を探したり。ビデオ撮影にはやることがいっぱいだ。準備だけで数日、時には数週間かかってしまうこともあるよ。
Q:先ほども少し話に出ましたが、AIの進化はクリエイティブな面にもインパクトを及ぼしていて、音楽分野ではAIが歌う曲がヒットチャートの上位に入るなど無視できない存在にもなっています。こういった現状をあなたはどう捉えてますか?
BA:この先どうなっていくか、まだなんともわからない。ただ、AIがとんでもなく大きな影響力を持っていて、人間の役に立つものになるのは間違いないと思う。
AIで作った音楽に関しても…僕が聴いた限りでは、実際の人間が作ったものよりも優れてることもある。聴き心地はいいし、ボーカルには説得力があるし、トラックもテンポがズレることなく、ピッチも何もかも完璧だ。でも…それだけすべて完璧なのに、"何か"が足りないんだ。その"何か"を見つけ、それをAIが埋められるようになったら、魔法が生まれるのかも知れない。
今の段階では、AIは実に優秀なツールなので、人が前に進むのを助ける存在として効果を発揮してくれたらいいと思うよ。
Q:あなたにとってAIはパートナーになりうる存在ですか?それとも距離をとる関係になりそうですか?
BA:どうだろうね。AIを使っての「Be The Reason」のビデオ制作も想像していたよりずっと大変だった。写真では、AIを使って何ができるか色々と試しているけど、結果は結構面白いよ。間違いなく言えるのは、AIはいまや完全に定着していて、無くなることはないってこと。それだけは確かだよ。
Q:いま世界では多くの困難が顕在化していたり、不寛容さを感じる瞬間も少なくないです。支えや癒しとして、音楽の力はますます必要になっているかと思いますが、そんな世界に向けてこれからあなたはどんな音楽を届けてくれますか?
BA:だから『Roll With The Punches』を作ったんだ。このアルバムこそ、僕がいま世界に届けたい音楽そのものさ。
Q:今回のジャパン・ツアーで27回目の日本武道館公演を迎えます。この会場でのライブはどんな印象を持っていますか?
BA:武道館の歴史を考えると、またあそこに戻れるっていうのは、本当に嬉しいしワクワクする。日本には何度も戻っているけれど、そのたびいつもUDOがいて、僕らを支えてくれた。忘れられない思い出だ。そしてこれだけ年数を重ねた今もUDOに呼ばれるアーティストとしていられることを心から誇りに思っているんだ。
Q:少し前に「Heaven」のカラオケ・バージョンをYouTubeにアップされていましたね。あれは日本のファンに"「Heaven」を練習しておいてね!"という意味でしょうか(笑)
BA:100%その意味だよ!
Q:あなた自身もあれで歌った?
BA:僕はわざわざカラオケで歌わなくても、自分のコンサートで歌ってるから!
Q:でもカラオケに行かれたことはありますよね?どんな歌を歌うんですか?
BA:そりゃあ、もちろんあるよ。その時歌ったのは「You’ve Lost That Lovin’ Feelin’(フラれた気持ち)」だったかな。
Q:今回の来日メンバーを教えてください。
BA:ギターのキース・スコットは、僕が日本武道館で行った、1回目だけを除いて、すべてのステージに共に立っている盟友だよ。ゲイリー・ブライトも、この25年間バンドのピアノ/キーボードを務めてくれている。パット・ステュワートは「Summer of '69」ーつまりアルバム『Reckless』で叩いてるオリジナル・ドラマー。以上が僕の自慢のバンドさ!
Q:ジャパン・ツアーではどんなショーをみせてくれるのか、見どころを教えてください。
BA:今までで最高のショーになると思う。って、そう言わない訳にはいかないからね(笑)でも真面目な話、これまで以上にエキサイティングな内容になっていると言えるよ。記念すべき26回目、そして27回目の日本武道館で、みんなに会えるのを楽しみにしているよ!
Q:最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
BA:ROLL WITH THE PUNCHES!(へこたれずにいこうぜ!)
interview & translation:Kyoko Maruyama