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1980年代総括

 ビル・ヘイリーやエルヴィス・プレスリーの登場を契機にした、いわゆる「ロックンロールの誕生」から25年。1980年代が幕を開けるとすぐ、衝撃的なニュースが飛び込んで来た。そのロックンロールという文化が生んだ最大のヒーロー、ジョン・レノンが、12月8日、ニューヨークで亡くなったのだ。

 35歳の誕生日に生まれた息子ショーンの育児にしばらく専念していた彼は、その直前に、ヨーコ・オノとの共作という形で5年ぶりのアルバム『ダブル・ファンタジー』を完成させていた。深い想いの込められたこの作品で二人は、81年度のグラミーで年間最優秀アルバム賞を獲得している。

 その後につづく数年間で、ロックやポップスの世界は大きな変化を体験することとなった。最初の大きな事件は、アメリカで音楽専門チャンネルMTVが設立されたこと。正式な放送開始は、81年8月。この画期的なニューメディアはすぐに強い影響力を持つようになり、アーティストが新作発表にあわせてプロモーション・ビデオを制作する流れが加速されていった。そういった流れのなかでマイケル・ジャクソンの「スリラー」やザ・ポリスの「見つめていたい」、ピーター・ゲイブリエルの「ショック・ザ・モンキー」のような名作も生まれたが、ヴィジュアル的な要素が過剰に重視されるようになったというデメリットも見逃せない。『トップ・ガン』や『フラッシュ・ダンス』など映画と音楽の関係がより密接なものとなったことも、MTV/プロモーション・ビデオの定着とつながるものだ。

 つづく82年には世界初のCDが発売され、翌年にはデジタル楽器の代名詞となったDX7が発表されている。音楽制作の現場では急速にデジタル化が進み、直径30cmのビニール盤からCDへの移行は、やがて、音楽の聴き方そのものを変化させることにもなっていく。

 80年代サウンド、80年代ミュージックといった言葉でくくられ、今も多くの人に愛されているアーティストやヒット曲はこういった劇的な変化を背景に生まれたものといっていいだろう。

 その1980年代のヒット・チャートを席巻したのは、デュラン・デュランやカルチャー・クラブなど新世代のイギリス勢、ライバル的な形で紹介されることの多かったマイケル・ジャクソンとプリンス、同じくマドンナとシンディ・ローパー、ザ・ポリスとグループ解散後のスティング、ジェネシス一派、まさに彗星のように登場したホイットニー・ヒューストンといったところ。84年発表の『ボーン・イン・ザ・USA』で大きな成功を収め、数多くのフォロワーを生むこととなったブルース・スプリングスティーン、87年発表の大作『ザ・ヨシュア・トゥリー』で一気に巨大化したU2、新たなハード・ロック/ヘヴィ・メタル・ムーブメントを主導したボン・ジョヴィやガンズ・アンド・ローゼズの活躍も忘れられない。

 ちなみに、80年代を通じてもっとも長く全米チャートの首位を独占したのはオリヴィア・ニュートン・ジョンの「フィジカル」。81年11月から翌年1月にかけて10週連続ナンバー・ワンという大記録を残している。

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